犬にとって必要な栄養素
犬は人間と必要な栄養素が同じものもあれば、異なるものもあります。犬にとって必要な栄養素をしっかり理解しておくことで犬にとってより良い成長や健康を考えることができ、安全なドッグフード選びが出来ます。
炭水化物
主に脳や筋肉に取り込まれ、エネルギー源として活用されるためとても重要な栄養素とされています。また炭水化物は糖質とも呼ばれ、体内のインスリンというホルモンによって脂肪細胞や筋肉細胞に蓄えられます。炭水化物は砂糖、米、とうもろこし、イモ類、でんぷんに多く含まれています。犬の炭水化物摂取の適正量は定められていません。
タンパク質
タンパク質は体内でアミノ酸という物質に分解され、そのうち体内では合成することが出来ず食事によって摂取しなければならないものを必須アミノ酸と言います。
犬にはこの必須アミノ酸がアルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの10種類あります。タンパク質は肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などに多く含まれています。最低摂取量はアメリカ動物病院協会では理想体重1kgにつき2.5g以上とされています。
脂質
タンパク質と同様に脂質は主に脳や筋肉に取り込まれてエネルギー源として活用されます。脂質は体内で分解されて、脂肪酸になります。そのうち体内で合成出来ず、食事によって摂取する脂肪酸を必須脂肪酸と言います。犬の必須脂肪酸はリノール酸、αリノレン酸、EPA、DHAの4種類あります。
脂質はバター、生クリーム、マヨネーズ、植物性油によく含まれています。犬には脂質の摂取量は厳密な決まりはありませんが、脂質は高カロリーであるため、過剰な摂取は控えたほうがいいです。
ビタミン
ビタミンは生物の生存や生育に必要となる栄養素です。尿と一緒に排出され過剰症のない水溶性ビタミンと脂に溶け、尿と一緒に排出されない脂溶性ビタミンの2種類に分類されます。犬に必要な脂溶性ビタミンはビタミンA、ビタミンD、ビタミンEの3種類、水溶性ビタミンはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸の7種類です。
水溶性ビタミンであるビタミンCもあるのですが、犬は体内で合成できるため食事での摂取は必要ありません。ビタミンの摂取量も決まりはありませんが脂溶性ビタミンの過剰摂取は控えたほうがいいです。
ミネラル
生体にとって必要不可欠な微量元素であり、日本語では無機質と呼ばれています。摂取量が多くても少なくても体調不良を起こしてしまうため注意が必要です。ミネラルには鉄、カルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛、ナトリウム、カリウム、ヨウ素などがあります。またそれぞれ摂取量が違います。ミネラルは牛乳、海藻類、牡蠣などに多く含まれています。
水
人間は汗をかくことによって体温調節を行い、多くの水分を失います。犬も人間ほどではありませんがパンティングという呼吸によって体温調節を行い、水分を失うので必要不可欠となります。犬の1日の水分摂取量は1日の食事のカロリー摂取量が1,000kcalの場合、約1,000mlが目安とされています。
ドッグフードの種類
ドッグフードには色々な種類があり、犬の年齢や目的などによって種類分けされています。大きな違いでいえば水分含有量があります。
ドライフード
ドッグフードの種類の中で最も多いタイプです。栄養バランスが良くて肉類や穀類を配合し、小粒にして固めてから乾燥させています。そのため保存も長く出来るし与える時の手間も省けます。ペットショップやスーパーなどで市販もされていて簡単に購入することが出来ますし、ドライフードの種類も豊富なので値段もお買い求めやすいのが多いです。
またドライフードは犬が噛み砕いて食べられるようにしてあるので顎が丈夫になるし、歯石の予防にもなるのでメリットが多く、動物病院でも多く使用されており、獣医さんもダライフードをオススメ人が多いです。しかし安価なドライフードの中には原材料の化学物質が多く含まれているものや油分が多いものがあるのでしっかり原材料を見て購入するか、獣医さんにどのドライフードがオススメか聞くのがいいです。
ウェットフード
ドライフードとは異なり、水分含有量が多く、缶詰やレトルトタイプなど最近では多くのウェットフードが販売されています。香りが良く、食材も高級なものが使用されているのが多いです。多くの犬はドライフードよりもウェットフードの方を好みます。また各メーカーも栄養バランスに工夫をしているのが多く安心できるのが多いです。
しかし食材や栄養バランスが良い分、値段も高価なものが多く毎日与えるには少々経済負担になってしまいます。また、ドライフードのように噛み砕いて食べる必要がないので顎の発達がしにくく、歯石の予防も出来ないなどのデメリットがあります。食の細い犬の食欲促進のためにドライフードや好きな食材が入った手作り料理と一緒に食べさせる時などに与えるのがオススメです。
セミドライ、セミモイスト
水分含有量がドライフードとウェットフードの中間に位置するのがセミドライとセミモイストです。半生タイプとも呼ばれています。半生タイプはウェットフードのように香りが良く犬も好みやすく、少量ずつ小分けに包装されているので飼い主も扱いやすくなっています。
しかし半生タイプには添加物が含まれているものが多いので選ぶ際には注意が必要になります。半生タイプを与えるのは日常ではなくご褒美やおやつなどとして与えるのがいいです。
ごはんを与える時間と回数
人間はごはんの時間や回数は大体決まっています。犬もごはんの時間や回数に決まりがあるのかといえば時間に関しては決めない方がいいです。時間を決めてしまうと犬もその時間になればごはんが食べられると思い吠えてしまうからです。室内で飼っている家庭ですとごはんが食べられることから興奮して走り回ったり、物を噛んで壊してしまうこともあります。
]また食事の時間が遅れてしまった場合、犬にとってストレスを与えてしまうからです。そうならないためには食事の時間はあまり決めない方がいいです。回数は成犬なら朝と夕の2回でいいのですが子犬は3~5回くらい与えるのが最適です。
生後3か月まではドッグフードのパッケージに表記された量をお湯でふやかして15分程度冷まして与えるようにします。3か月後からはドライフードを食べられるように徐々にお湯でふやかす硬さを調整していきます。子犬は成犬に比べて胃が小さく1度に食べられる量が少ないので成犬よりも回数を多くするのがいいです。
犬に与えてはいけない食べ物
人間は当たり前のように食べている物だからといって犬に与えてしまうと体調を崩したり、最悪の場合死に至ることもあります。そうならないためにも犬が食べてはいけない食べ物はしっかり把握しておくことが重要になってきます。ドッグフードだけなら問題はありませんが、手作りで犬に何か食べさせる時に、その手作り料理に入っていると大変です。全てではありませんがいくつか例を挙げていきます。
ぶどう、マスカット
大量摂取することで急性腎不全を引き起こしてしまうため与えてはいけません。体重1kgあたり10g以上食べた場合は死に至ることがあります。加熱してもいけません。
いちじく
いちじくの皮や葉には犬にとって毒性物質となるソラレン、フィシンが含まれています。食べると嘔吐やよだれ、口内炎症を起こしてしまいます。加熱してもいけません。
プルーン
ドライプルーンは毒性がかなり強く、呼吸困難やショックを引き起こしてしまいます。加熱してもいけません。
玉ネギ、ネギ
犬の赤血球を破壊してしまうアリルプロピルジスルファイドという成分が含まれています。急性の貧血や血尿を引き起こしてしまいます。加熱してもいけません。
アボカド
中毒成分が含まれており、与えると心疾患を引き起こしてしまいます。加熱してもいけません。