ペットフードの種類いろいろ
ここ数年のペットブームもあり、10年前に比べてたくさんのドッグフードが店頭やインターネットで購入できるようになりました。選択肢が増えるのはとてもいいことなのですが、愛犬のごはんにはどのフードを購入すればいいか、迷ってしまう方もたくさんおられます。そこで、ドッグフードを選ぶヒントをご提案できればと思います。
国産フードと外国産フード、総合栄養食と一般食、通常フードとプレミアムフードという分け方をよくします。それとは別に、疾病の動物のために特別に調整したフード、療法食があります。療法食は動物病院で購入することが多いですが、商品によってはインターネットやペットフードを扱うショップで購入することができます。
国産フードと外国産フードだと、外国産フードの方が評価が高いですね。世界初のドッグフードは1860年代にイギリスで誕生し、1870年代にはアメリカでも生産·販売が始まりました。歴史の長さが信頼に繋がっているといえます。日本でのドッグフード生産は第二次世界大戦後の1960年に始まりました。世界初のドッグフード生産からは100年の開きがありますね。
国産初のドッグフードは、皆さまもご存知のビタワンです。舌を出した犬のマークでおなじみですね。ペットフードは当初はペットの食いつきを重視していましたが、やがてペットに必要な栄養を含むもの、より上質の材料を使う、品質の高いフードへと変化していきます。アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)ではドッグフードやキャットフードの栄養基準を定めています。
日本のペットフードはペットフード公正取引委員会にて総合栄養食と一般食に区別されていますが、総合栄養食とはこのAAFCOの基準を満たすものです。1日に必要な量の総合栄養食を食べていれば、ペットは必要な栄養を補給できているとみなされます。一般食はいわゆる「おやつ」と呼ばれる補助食品になります。
総合栄養食は「ごはん」に相当しますね。より品質の高いフードは、通称プレミアムフードと呼ばれるものと、医療の場でも使われる、病気のペットに対応した療法食フードです。
プレミアムフードと療法食フード
プレミアムフードの特徴としては、ペットの健康を重視して開発されているということがあります。人間の食品と変わらない品質の材料(ヒューマングレード)を使うという商品、ペットに有害とされる合成保存料を使わないという商品、基本的に肉食である犬のために穀物を含まない(グレインフリー)商品、などなど沢山のフードがあります。療法食ほどではないですが、腎臓や心臓の病気にある程度対応できるフードもあります。
プレミアムフードの中にはメーカーの信奉する基準を重視し、あえてAAFCO基準に合わせず、総合栄養食ではなく、一般食扱いの商品もあります。カテゴリーは一般食ではありますが、総合栄養食と同じように考えてもいいかと思います。ほとんどのプレミアムフードは外国産で輸入品ですが、国産のプレミアムフードもいくつかあります。販売店はペット専門店であったり、インターネットショップであったりすることが多いです。
スーパーやホームセンターで販売されている商品に比べると、若干入手しづらいのが欠点といえます。プレミアムフードは愛犬によりよい「ごはん」を食べさせてあげたい!という飼い主さんにオススメです。いつでもどこでもすぐ買える!という飼い主さんには、流通量が多く、スーパーや量販店でお求めやすいフードがオススメです。
スーパーで帰るのもいいけど、品質がしっかりしているメーカーのフードがいいな…と考える飼い主さんには、療法食を作っているメーカーが、普通食として販売しているフードがオススメです。療法食は動物病院向けに、疾病のある動物に対応して作られているものです。
代表がヒルズ·コルゲートのプリスクリプション·ダイエットシリーズです。プリスクリプション·ダイエットとは「(医師から)処方された食事療法」という意味になります。ヒルズ·コルゲートの他にはアイムス、ロイヤルカナン、スペシフィック、日本のメーカーだと日清ペットフードなどがあります。
ヒルズ、アイムス、ロイヤルカナン、日清ペットフードは療法食ではない通常食も販売しています。療法食フードのメーカーは往々にして大企業であることが多く、療法食メーカーとしてのペットフードに対する知識が通常食の開発にも生かされていると考えられて、世界的に信頼度が高いです。
ただ、大企業の製品であること、医療現場で使われる性質上、通常食·療法食の区別なく合成保存料が使用されています。これを好まない飼い主さんもおられます。合成保存料を使わない究極のドッグフードは手作り食になります。飼い主さんにとっても、愛犬にとっても、絆を深める愛情こもったごはんになりますね。手作り食の欠点は栄養が偏りやすいことです。
獣医さんの中には市販のドッグフードより、手作り食を推奨されている方もおられます。レシピ本やサイトなどの情報がありますので、それらを参考に、栄養が偏らないように作ってあげましょう。これらの他には、ペットの健康を考える病院·店舗·グループ、またはペットショップが小規模に生産しているドッグフードがあったりします。現在、流通しているドッグフードは、だいたいこれらのカテゴリーに属しています。
プレミアムだから良いフード…ではない!?
こうしてフードの種類をあげていくと、「じゃあ、プレミアムフードが一番いいフードなの?」と考えてしまいがちです。2007年にアメリカで起きた、ペットフード大量リコール·メラミン混入事件をご存知でしょうか。ペットフードに使われた、中国産の小麦グルテンやライスプロテインをカサ増しするために、メラミンが混入された事件です。メラミンが混入したフードを食べた犬や猫は腎不全を発症し、重症ケースでは死亡しています。
この時、流通しやすい通常フードだけではなく、なんと、プレミアムフードと呼ばれていたフードまでがメラミン混入した小麦グルテンやライスプロテインを使用していたことが分かったのです。こういう事件があったので、現在ではどのメーカーも原材料選びには注意を払っていると思われます。ですが、ユーザーとしては、「プレミアムフードといっても、危険な原材料を使うことがあるのか…」と思ってしまったのも事実でした。
プレミアムフードでは少ないかもしれないですが、チキンミール·ミートミール·家禽ミール·4dミートと呼ばれる原材料を使っているフードがあります。これらは食肉の副産物と呼ばれる部分を使っています。日本とアメリカでは若干定義は違いますが、鶏·魚·牛·豚などの、普通は人間の食べない部位、内臓や骨や皮などを使用した肉のことです。
良いペットフードを推奨するサイトでは必ず「使うべきではない」と叩かれているこの『肉』ですが…野生の獣は狩ったエモノは丸ごと食べます。大抵、腹部から手をつけます。内臓がご馳走なんですね。鶏の場合、トサカやツメにはコラーゲンが含まれます。副産物も、悪い事だけではないと考えられるのですね…
成長ステージや種類に合ったフード選び
現在では、各社から成長段階に合わせたフードや、特定の犬種向けのフードが発売されています。成長期の子犬と老年期のシニア犬に要求される栄養素やカロリーは当然違いますし、小型犬と大型犬、室内犬とよく運動する犬、去勢·避妊済かそうでないかでも、必要な栄養素やカロリーは変わってきます。
ここで気をつけなければいけないのは、全ステージ対応型のフードと、穀物不使用(グレインフリー)のフードです。高齢になってくると、犬は腎臓や肝臓に不具合を抱えることが増えてきます。その時に、高タンパクのフードを使用すると、腎臓や肝臓に負担を与えてしまうことがあります。
年一回の健康診断で血液検査をして、犬の体調を確認するなどして、検査項目がグレーゾーンになるようでしたら、シニア向けフードに変更するのが望ましいと考えられます。あなたの愛犬のための大事な「ごはん」を選ぶ際に、少しでもお役にたてましたら幸いです。